ディープラーニングによる画像認識技術は、近年注目を浴びている自立走行車の開発にも応用が進んでいるが、その波はドローンによる自立飛行にまで足を伸ばしそうだ。
従来のドローンはGPSや、ドローン本体のセンサーによって自立飛行されるが、森林や、山岳地帯など、狭く複雑で難しい地域での自立飛行は困難である。特に用途としてレスキューが強く求められているドローンにとって、そういった地域で活躍できないのは致命傷ともいえる。
スイスの人工知能研究所「IDSIA」とチューリッヒ大学が共同で開発しているのは、ディープラーニングを活用した画像認識技術により森林内で自立飛行が可能なドローンだ。
あらかじめ3台のGoProを頭につけた人間が森林内を動き回り、森林内の画像データを採取する。そして採集したデータ(2万枚の画像データ)を入力しドローンに入力し学習させる。
ドローンの走行中にドローン本体が映している映像を、学習データをもとにディープラーニングによって処理し、画像認識をし、正しい方向を判断することができるのだ。インプットからアウトプットまでに通過するのは10層のニューラルネットワークだ。
このディープラーニングを使った画像認識技術により、ドローンの方向に対する識別精度は従来より大幅に上がり、人間による識別と同じ精度にまで至っているという。
この結果は、ディープラーニングを使ったレスキュードローン自動飛行の実現に向けて良い兆候となるだろう。
Drones learn to follow forest trails in search of lost people
ディープラーニングを使ったドローンの自立飛行に取り組みに力を入れているところは他にもある。例えば、ボストンのスタートアップ「Neurala」は、ドローンの周囲の映像をリアルタイムで学習、解析をし、障害物を避けるシステムの開発を行っている。
また、同社は一般のドローンを使い指定した対象物を追尾させるアプリを提供している(この場合には学習させる画像データが必要となる)。自身を対象物として設定すれば、ドローンを自身を追尾し撮影してくれるようにすることも可能だ。
これらのようにディープラーニングを活用したドローンの自動飛行の試みは着々と目立ってきている。ディープラーニングによる画像認識技術がドローンの標準の「目」となる日も近いかもしれない。
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