ディープラーニング(Deep Learning)とは?【入門編】

 

#はじめに

最近、ニュースや記事でよく目にする“ ディープラーニング(Deep Learning) ” 。

ビジネスや社会にどのように影響を与え、活用されていくのかに興味ある方が多方面に増えてきている一方で、Deep Learningについて知りたいけれども、実際よくわからない…と感じている方も多く見受けられます。

実際にMM総研の「人工知能技術のビジネス活用概況」の調査結果によると、人工知能のビジネスへの導入率は、日本は他2カ国に比べかなり遅れをとっていることが読み取れます。

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引用:https://www.m2ri.jp/news/detail.html?id=238

今回は、その基本的な疑問や実際どうビジネス活用できそうなのか皆さまが想像できるようになるよう、Deep Learningとは一体どういう技術なのか、俗にいう「人工知能(AI)」や「機械学習(ML)」との違いなど基本的な情報に加え、ビジネスに実際どう導入されているのかなど事例を含めながら解説していきます!


#Deep Learning(深層学習、DL)とは?

Deep Learningとは、十分なデータ量があれば、人間の力なしに機械が自動的にデータから特徴を抽出してくれるディープニューラルネットワーク(DNN)を用いた学習のことです。

DNNとは、ニューラルネットワーク(NN)というパターン認識をするように設計された、人間や動物の脳神経回路をモデルとしたアルゴリズムを多層構造化したもので、昨今注目を浴びています。

—MITが発刊している『Deep Learning Book』には、以下のように記載されています。

“Deep learning is a particular kind of machine learning that achieves great power and flexibility by learning to represent the world as a nested hierarchy of concepts, with each concept defined in relation to simpler concepts, and more abstract representations computed in terms of less abstract ones. “


#今、Deep Learningが注目を集めている?

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Deep Learningが羨望を受けるきっかけになったのは、2012年にトロント大学のヒントン教授らが世界的な人工知能の競技会(*1)でDeep Learningを用いたシステムで圧勝したことです。

皆さんの記憶に新しいのは、2016年に人工知能の囲碁プログラム「AlphaGo (*2)」が、世界トップレベルの実力を持つ韓国のプロ棋士に勝利したことでしょうか。

それまでも、「人工知能」というのは、過去2回ブームがあり、2013年以降は第3次AIブームと言われていますが、この3度目のブームを引き起こしたのは間違いなくDeep Learningといっても過言ではありません。

Deep Learningが、今までの人工知能や機械学習とどういう関係で、何が違うのか。

Deep Learning の何がそんなに画期的で凄い技術なのかを次に見ていきましょう。


#Deep Learningと人工知能、機械学習の違い

今までの話で、人工知能と機械学習、Deep Learningと3つのキーワードが出てきて、すでに混同している方も多いとは思いますが、そこまで難しく考えることはありません。

3つのキーワードの関係は、大まかにいうと「人工知能>機械学習>Deep Learning」という構造になっています。

どれも違う技術ということではなく、図解すると以下のようなベン図になります。

良くある誤解ですが、Deep Learning自体がAIというわけではなく、人工知能の要素技術の1つという位置付けです。

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大まかな構造がわかったところで、1つ1つのワードについて深掘りしていきましょう。

①人工知能(AI)

“AI“、最近よく聞くワードになりつつあると思いますが、巷では何にでもAIと使われがちで、学者の中でも定義は人それぞれで統一的見解はありません。

今回は「大量の知識データに対して、高度な推論を的確に行うことを目指したもの 」(一般社団法人 人工知能学会設立趣意書からの抜粋)という立場を取りたいと思います。

AIは、大まかに2つに分類することができます。

 

図1

■弱いAI:人間の知能の一部を代替する、一見知的な限られた問題解決を行えるもの

∟特化型AI:特定の決まった作業を遂行するためのもの(囲碁AIなど)

∟汎用型AI:特定の作業やタスクに限定せず人間と同様の、あるいは人間以上の汎化能力を持ち合わせているもの

■強いAI:脳科学などを取り入れながら人間の知能や心の原理を解明し、人間の脳機能と同等の汎用的な知的処理が実現可能なもの。人間のように自意識や感情を持ち合わせているもの。

 

ニュースなどでよく見かけるのは、弱いAIで中でも特化型AIです。

現実的にはまだ汎用型AIは難しいと言われています。

(追記 6/18:強いAIは、汎用人工知能(AGI)とも呼ばれます。弱いAIの汎用型AIとどう違うのかというところですが、その差は人工知能自体に意識があるか、ないかというところにあると思っており、強いAI≒ドラえもん のようなイメージを持っていただけると分かりやすいのではないかと思います。)

②機械学習(ML)

機械学習とは、機械学習のパイオニアの1人であるアーサー・サミュエルによると、

” The field of study that gives computers the ability to learn without being explicitly programmed.”

と定義されており、日本語に訳すと「人が明示的に挙動を指示することなしにコンピューターに学習能力を与えること」 ということになります。

具体的に機械学習にも以下のような学習の仕方に種類があります。

 

図2

■教師あり学習:正解(正しい出力)付きのデータを機械に学習させる方法

∟回帰:データを入力すると、出力として数値を返す方法(予測)

 用途:株価予測など

∟分類:データを入力すると、出力としてデータの属性や種類を返す方法(ラベリング)
用途:メールのスパム検知など

■教師なし学習:正解を必要とせず、膨大なデータから自動的に算出した特徴量から構造や傾向、法則などを導くことで機械に学習させる方法

∟クラスタリング:データを入力するとそのデータのグルーピング結果を返す方法

■強化学習:自ら試行錯誤して最適な行動を見つける学習で、直近の目標を達成し、報酬を与えることで上達していく方法。

 

③Deep Learning (DL)

冒頭に記載したように「十分なデータ量があれば、人間の力なしに機械が自動的にデータから特徴を抽出してくれるディープニューラルネットワーク(DNN)を用いた学習」ということで、人工知能の中の1つの要素技術です。

Deep Learningといってもアルゴリズムに種類があり、それぞれ得意分野が違うのでビジネスにDeep Learningを導入する際、どのアルゴリズムを使うのが適切なのか検討する必要があります。

今回は、大まかに3つ紹介しますが、もっと知りたい方はDeep Learning Tutorial – NYU Computer Science にマッピングされているものが記載されているのでご覧になってみてください。

 

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■DNN(Deep Neural Network,ディープニューラルネットワーク)

ニューラルネットワーク(NN)というパターン認識をするように設計された、人間や動物の脳神経回路をモデルとしたアルゴリズムを多層構造化したもの。

■CNN(Convolutional Neural Network,畳み込みニューラルネットワーク)

局所的な情報の抽象化及び位置普遍性をもたせた順伝播型ニューラルネットワークを利用したアルゴリズム。DNNを2次元データに対応させたもので、画像に対して高いパターン認識能力を示します。

主な用途:画像認識

■RNN(Recurrent Neural Network,再帰型ニューラルネットワーク)

音声、動画データのような可変長のデータを扱えるようにするために中間層に再帰的な構造をもたせた双方向に信号が伝播するニューラルネットワークを利用したアルゴリズム。

DNNを横に繋いで時間変化する、連続的なデータに対応させたものですが、あまり長時間のデータには向きません。

また最近では、Google Translateなど自然言語処理にも使われています。

主な用途:音声認識、動画認識、自然言語処理

そもそもビジネスに導入したい際には、Deep Learningのアルゴリズム等を検討する前に、それが機械学習の方が適切なのか、DeepLearningの方が適切なのかでも変わってきます。


#Deep Learningの簡単な仕組み

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上図のように、Deep Learning は中間層を多層にすることで情報伝達と処理を増やし、特徴量の精度や汎用性をあげたり、予測精度を向上させたりすることが可能になります。

深層学習と言われるくらいなので、ここまでは想像がつくと思いますが、具体的にどういった過程を踏むのか例に出して説明します。

このSotaくんのように「目の前においてある果物が何なのか」を認識させるようにするにはどうすればいいのかを例に説明します。

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下図のように、大まかに学習処理のフェーズ、推論処理のフェーズに分かれます。

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実際にビジネスに導入する際、学習済みのモデルを使用する場合には推論の処理のみなので大規模な計算資源は必要ないです。

しかし、もし学習モデルの作成から行う場合には大量のデータだけではなく、膨大な量のデータを処理するための時間や電力、GPUのように大量のデータを処理できるサーバーが必要となります。

またDeep Learningの特徴として、生データの量が多ければ多いほど精度は上がります。

逆にいうと、Deep Learningには、テストデータが少ないと性能が出ない、識別結果のチューニングが難しいという弱点があります。

Deep Learningで、大量のデータさえあれば、従来の機械学習などではできなかった複雑な扱いづらいデータも処理を行うことが可能になったという点が大きな変化と言えます。


#Deep Learningで可能なこと

では、具体的にDeep Learningで今何ができるのかを見ていきたいと思います。

まず入力するデータの種類別に、以下のように分類できます。

①画像認識

画像動画を入力とし文字や顔などの特徴を認識・検出する技術です。 背景から特徴を分離抽出しマッチングや変換をおこない、目的となる特徴を特定し認識します。

(例: Facebookのタグ付け(顔認証)、自動運転、感情分析など

②音声認識

音声を認識させる技術です。人間の声を認識してテキストに出力したり、音声の特徴をとらえて声を出している人を識別したりできます。

(例:iPhoneの「Siri」のような音声入力など

③自然言語処理

人間が日常的に使う自然言語(書き言葉・話し言葉)をコンピューターに処理・理解させる技術です。

(例:銀行のコールセンターでの問い合わせ対応、文書要約、機械翻訳など

④異常検知

産業機器などに取り付けられたセンサーなどの時系列データから異常の兆候を感知する技術です。

(例:工場内の監視(故障や異常動作の検知)など


#Deep Learningを用いたサービスなどの具体的な事例

■製造

Rist(Deep Inspection):画像の中で特定のパターンに一致する箇所を認識させ、工場などにおける不純物の検知などを行うことができる。

図22

 

URL : http://www.deep-inspection.com/

■流通

ViSENZE:ECサイトなど電子商取引のプラットフォーム上でファッションアイテムなどを画像で検索ができる。

図23

URL : https://www.visenze.com/

 

■マーケティング

Ditto Labs(Ditto):ソーシャル上の写真から自分たちの製品はどんな状況でどのように使われているのかなどを画像から解析できる。

図30

URL : http://dittolabs.io/

■医療

Atomwise:既存の薬の分子構造などから新しい薬をディープラーニングによって発見し、新薬発見のプロセス短縮を目指している。

図25

URL : http://www.atomwise.com/

Enlitic:レントゲン写真やCTスキャン、超音波検査、MRIなどの画像からがんなどの悪性腫瘍を検出する。

図26

URL : https://www.enlitic.com/

■セキュリティ

Deep Instinct:ディープラーニングアンチウイルスパッケージというディープラーニングを用いて自動で危険なコードを認識するソリューション。

図27

URL : https://www.deepinstinct.com/

■金融

Alpaca:Deep Learningを活用した金融トレーディングプラットフォーム。トレーディングを行う人が自分の投資タイミングの判断をチャート上からAIに学習させ、同様の投資タイミングが発生したときにお知らせするトレーディング意思決定支援機能をメイン機能としている。

図28

URL : https://www.alpaca.ai/

他にも、大量の顔写真の表情から感情を分析することができたり(https://www.affectiva.com)、「LINE」のスタンプのレコメンド、ニュースアプリ「グノシー」の年齢推定、音楽ストリーミングサービスの「Spotify」の類似した曲のレコメンドなど身近に使っているアプリにもDeep Learningは活用されています。


#Deep Learningの未来

Deep Learningの期待されているところは、今まで機械学習などでは処理ができなかった複雑なデータを扱うことが可能になり、人間が行っていた業務の一部を機械に置き換えたり、業務を効率化したりすることができるようになることです。

それだけでなく、技術自体がコモディティ化し、皆がDeep Learningを使えるようになり、データの活用の仕方次第であらゆる領域で新しい体験などが生み出され社会の仕組み自体をも変える技術になるだろうという部分にあると思っています。

実際富士キメラ総研の調査結果によると人工知能(AI)ビジネスの国内市場は、2030年度に2兆円規模になり、2015年度の14倍になると言われています。

参考:http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/column/16/072600158/120700021/?rt=nocnt

今後もより幅広いあらゆる領域で、Deep Learningが活用されていくでしょう。

現在、クラウドコンピューティングの世の中ですが、Deep Learningが普及していくことで、クラウドに上げずともデバイス自体がそれぞれ群知能的に処理していくことでエッジだけで完結し、エッジコンピューティングの世界に変遷していくと弊社は考えております。


#編集後記

今まで読んでいただいた中で少しでもDeep Learingについて深まりましたでしょうか。

今後も弊社は様々なパートナー様と一緒に、あらゆる領域で取り組むことでDeep Learningの普及を盛り上げていきたいと思っております。

もしこれを読んで、これってDeep Learningで出来るのではないか、自社サービスやプロダクトにも活用してみたいと感じた方は、DL導入支援サービスを行っておりますので是非弊社に一度お問い合わせください!

 

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<注釈>

*1人工知能の競技会( ILSVRC )

120万枚の画像から1000クラスのカテゴリ識別を行い、精度を競うコンペティション。

*2 AlphaGo

米Google DeepMind社が開発した、ディープラーニングを応用した人工知能。最近、人類最強の棋士・柯潔に勝利し、囲碁対局から引退。

坂口真里奈

Posted by 坂口真里奈

工学院大学 工学部 環境エネルギー化学科在学中。スタートアップの環境やディープラーニングなどの最先端技術に興味がありジョイン。LeapMindでは事業開発や広報を担当。